「お金配り」でお金を受け取ったら逮捕される!?近年流行の「お金配り」の本当の意味とカラクリ

SNSで時々見かける「お金配ります」というアカウント。もしかしたら詐欺アカウントかもしれません。今回は、お金を受け取ったせいで逮捕されてしまった事例を紹介します。

事実の概要

A氏はSNSで「2万円あげます」という投稿に応募したところ当選通知が届き、主催者に銀行口座を教えました。2万円もらえるはずが、A氏の口座には200万円振り込まれ、その後、配布者から「振込金額を間違えた。10万円は手数料としてあげるので、残り190万円を手渡しで返してほしい」とのこと。言う通り、A氏は190万円を引き出し返金した後、逮捕されてしまいました。

なぜ逮捕された?

振り込まれた200万円は実は特殊詐欺の収益金であり、知らずにA氏はその「受け子」をやらされていたのです。つまりA氏の口座は特殊詐欺グループのマネーロンダリングに利用されていたことになります。

本件マネーロンダリング(マネーミュール)の手順

1.まずSNSでお金配り(2万円)の投稿をし、応募者を待つ
2.応募してきた人に当選の通知を出して、その人の口座を聞き出す
3.振込詐欺等の犯罪収益金(200万円)の振込先を2の口座として指定
4.伝えていた金額より大きめの額を振り込んだとして、残りを返すように伝える(190万)
5.現金化させ、詐欺グループへ190万円を渡させる


SNSの「お金配り」に応募した人は、犯罪収益金の運び屋(=マネーミュール)をさせられてしまうことになります。

似たような事件は他にも・・・

類似事例その1「がんで余命1年。死ぬ前に資産分配」

「がんで余命1年。死ぬ前に資産分配」「いいねで40万振り込み」などという投稿を見つけたB氏が当該アカウントをフォローするとダイレクトメッセージが届く。振り込みにはキャッシュカードと暗証番号が必要とのことで、B氏は指示通りにカードなどを送った。だが連絡は途絶え、銀行から突然「口座を凍結しました」と連絡があった。また、詐欺の被害金がB氏の口座に振り込まれたといい、加担した可能性があるとして犯罪収益移転防止法違反容疑で事情聴取された。

類似事例その2「海外送金するアルバイト」

C氏はSNSで「日本の客から海外送金するアルバイト」を見つけ、応募。ある日、送金依頼があり、C氏の口座に数十万円単位の入金があったので、自分の取り分を差し引いた金額を引き出し、海外送金サービスを利用して送金した。C氏は、急に怖くなり、アルバイトをやめるメールを送ったが、また数十万円が口座に振り込まれていた。

「お金配り」のよくある手口

X(旧Twitter)上で「お金配り」のキャンペーンを実施しているように見せかけ応募者を募ります。応募者がDMを送ったり、アンケートに答えたりすると当選通知が届きます。
当選金の振り込みに必要などとして、口座情報や本人確認書類などの個人情報を要求されます。
詐欺師は、この情報をマネーロンダリングや、特殊詐欺の口座貸しに悪用します。
実際に金銭が振り込まれるため、応募者はお金を受け取り当たった気分になりますが、実際には犯罪に加担していることになります。また、応募者の口座が警察の捜査対象となる可能性もあります。

もちろん、事務手数料が必要などとして応募者に振り込みをさせたあと、当選金の振り込みをせずに音信不通になるケースもあります。

お金配り詐欺の特徴

「お金配り詐欺」の一般的な特徴として以下のようなものがあります。


SNSやインターネットを利用
・ソーシャルメディアやインターネット掲示板で「お金を配ります」「現金プレゼント」といった投稿を行い、関心を引きます。
・有名人やインフルエンサーを装って信頼性を高めることもあります。


個人情報の収集
・お金を受け取るために個人情報(名前、住所、銀行口座情報など)を提供するように求められます。
・この情報を悪用して詐欺や不正行為が行われます。


手数料や送金費用の要求
・お金を受け取るために「手数料」や「送金費用」を事前に支払うように求められることがあります。
・実際にはお金が送られることはなく、手数料だけが詐欺師の手に渡ります。


偽のキャンペーンやイベント
・実在しないキャンペーンやイベントを装い、参加費用や登録料をだまし取ることがあります。
・「当選しました」といったメッセージを送りつけ、手続きを促す手法も一般的です。

「お金配り」のリスク

逮捕される

詐欺師がマネーロンダリングのために利用した口座を貸した人は、共犯者として逮捕される可能性があります、犯罪で得たお金の為に口座を貸したとみなされても同様に逮捕される可能性があります。

口座が凍結される

詐欺師が犯罪で得たお金を振り込んだ口座は、凍結される可能性があります。その場合、口座に預けているお金にもアクセスできなくなるため、大きな損失を被ることになります。

お金をだまし取られる

事務手数料などの名目で先に振り込みをさせたりしたあと、音信不通となります
SNS等で見られる「お金配り」は、お金がもらえることはほぼ100%なく、万が一振り込まれることがあったとしても、それは別の犯罪に加担する結果になるものがほとんどです。
そもそも、ネットで見ず知らずの人にお金を配る人など、基本的に存在しません。
リスク無しで多額の金銭が手に入る可能性はゼロと考えておくべきでしょう。

注意点

不審なメッセージに注意

突然の現金プレゼントの申し出には警戒し、個人情報を安易に提供しないようにします。

公式サイトの確認

有名人や企業が行っているキャンペーンであれば、公式サイトや公式アカウントを確認することが重要です。

手数料の支払いを求められたら注意

お金を受け取るために手数料を支払うように言われた場合、それは詐欺の可能性が高いです。

詐欺から身を守るためのポイント

お金配り詐欺から身を守るためには、以下のポイントに注意することが重要です。


不審なメッセージに注意
・突然の現金プレゼントの申し出には警戒しましょう。
・知らない人や不明なアカウントからのメッセージには注意が必要です。


個人情報を提供しない
・名前、住所、電話番号、銀行口座情報などの個人情報を安易に提供しないようにします。
・個人情報を要求する場合は、慎重にその理由や信頼性を確認します。


公式サイトや公式アカウントの確認
・有名人や企業が行っているキャンペーンやイベントの場合、公式サイトや公式アカウントを確認して信頼性を確認します。
・偽のアカウントや偽のウェブサイトに注意しましょう。


手数料の支払いを求められたら注意
・お金を受け取るために手数料や送金費用を支払うように言われた場合、それは詐欺の可能性が高いです。
・正当なキャンペーンやイベントでは、通常手数料を事前に支払う必要はありません。


信頼できる情報源を利用
・インターネットやSNSで得た情報は信頼できる情報源から確認するようにします。
・疑わしい情報については、家族や友人に相談することも有効です。


怪しいリンクをクリックしない
・メッセージやメールに含まれるリンクは注意深く確認し、不審なリンクをクリックしないようにします。
・リンク先のURLが正しいものであるかを確認しましょう。


警察や消費者センターに相談
・詐欺の疑いがある場合は、すぐに警察や消費者センターに相談します。
・事前に防止策を講じるための情報やアドバイスを求めることができます。

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