難病の子供への活動を装った街頭募金詐欺事件 武本幸一(49)2度目の逮捕 兵庫・大阪・京都・滋賀・岡山で詐欺繰り返す

移植手術 支援装い募金 詐欺容疑で男を逮捕

心臓移植手術の募金を装い現金をだまし取ったとして、生田署は11日、詐欺の疑いで相生市古池本町、無職武本幸一容疑者(49)を逮捕した。(2011/10/12 神戸新聞より)

武本幸一容疑者は2014年にも同じ内容の詐欺を行い逮捕されています。今回は2014年の事件について記事にしました。武本幸一容疑者の犯行場所は兵庫県、大阪府、京都府、滋賀県、岡山県です。2024年現在でも同じ行為を行なっている可能性がありますので近隣にお住まいの方はご注意ください。

武本幸ー

事件の概要

筋肉が骨に変わる難病「進行性骨化性線維異形成症(FOP)」と闘い人工多能性細胞(iPS)を使った新薬開発にも協力している男子高校生の支援を装い、街頭募金活動を行なって通行人から現金をだまし取ったとして、詐欺の疑いで、武本幸一容疑者が逮捕されました。2014年の事件です。

犯行の手口

神戸地方検察庁によれば、犯行の手口は以下の通りです。
・犯行場所は兵庫県、大阪府、京都府、滋賀県、岡山県
・難病の子供の支援活動を装い、同活動のポスターを見せて募金を募る。
・自己の用途に費消する意図であるのに、「難病の子供に募金をお願いします」「難病の男の子のために募金をお願いします」「難病のA君のために募金をお願いします」などと不特定多数の通行人に対し募金を呼び掛ける。
・プラスチック製の円筒容器に現金を入れさせる。
・被害額は合計で76万5900円

事件の経緯

・武本容疑者は、正規の難病支援団体の名前をかたるビラを勝手に作成し、通行人に募金を迫る。お年寄りに募金を迫ったり、体を押したりすることもあったという。
・武本容疑者はJRの定期券を購入し、約1か月間ほぼ毎日、街頭に立っていたとみられる。
・正規の難病支援団体に対し、「武本容疑者らしき男が募金活動をしている」という苦情が入り始める。
・同団体が武本容疑者に対し活動をやめるよう再三求めても応じなかった。

寄付金詐欺について

寄付金詐欺は、善意の人々が寄付を通じて支援しようとする気持ちを悪用する詐欺行為です。この詐欺は様々な形で行われ、以下のような手口があります。


偽の慈善団体
・詐欺師は実在する慈善団体の名前を無断で使用したり、似た名前の偽の団体を作成したりします。
・公式ウェブサイトやロゴ、偽の募金活動を利用して信頼性を装います。


インターネット詐欺
・偽のウェブサイトやSNSアカウントを作成し、オンラインで寄付を募ります。
・クラウドファンディングプラットフォームを利用することもあります。


フィッシング詐欺
・メールやSMSを使って被害者を偽の募金サイトに誘導し、クレジットカード情報や個人情報を盗みます。


電話や訪問詐欺
・詐欺師が電話や訪問を通じて直接寄付を求め、感情に訴えかけることで即座に寄付を促します。


災害詐欺
・自然災害や人道危機の際に、緊急支援を装って寄付を募る手口です。
・災害発生直後の混乱期に特に多発します。

防止策と注意点

信頼できる団体の確認

・寄付をする前に、その団体が信頼できるものであるか公式サイトや公的な認証を確認し
ます。
・有名な団体(日本赤十字社、国境なき医師団など)を利用するのが安全です。


URLとドメインの確認

・ウェブサイトのURLやドメインが公式のものであるか確認します。偽サイトはよく似た
名前を使うことがあります。


直接の連絡を避ける

・知らない団体や個人からの直接の寄付依頼には応じないようにします。


振込先情報の確認

・振込先が公式の口座であるか確認します。個人口座への振り込みは避けます。


口コミやレビューの確認

・インターネット上でその団体に対する口コミやレビューを調べます。信頼できる第三者
機関の評価も確認します。


寄付の領収書を求める

・寄付後に領収書を発行してもらうことで、後から確認する手段を持つことができます。

寄付金詐欺の事例

東日本大震災

この大災害の際、多くの偽の慈善団体が被災地支援を装って寄付金を募り、詐欺行為が横行しました。

新型コロナウイルスのパンデミック

パンデミックの初期段階で、偽の団体が医療機関への支援を装って寄付を募る詐欺が多発しました。

街頭募金詐欺は少額かつ不特定だから有罪にできない?

通常、街頭募金は個々の募金額(被害額)が少額であり、被害者の特定が困難です。そのような場合でも詐欺罪は成立するのでしょうか。
この点につき最高裁判所は2010年に、「不特定多数の通行人に、連日のように同じ内容の働きかけを行い寄付を募るという行為は、被告の一つの意思に基づく活動と認められ、一体のものとして処罰できる」との判断を示しました。
つまり、街頭募金詐欺は被害者が不特定多数ではあるが、詐欺罪が成立しうるということ
になります。

詐欺被害に対する公的救済手段

詐欺などの財産犯等の犯罪では,これまで,たとえ犯人が捕まっても,犯人がそのような犯罪によって得た収益の没収や追徴は禁じられていました。
しかし,組織犯罪処罰法の改正により,詐欺罪や高金利受領罪(出資法違反)といった財産犯等の犯罪行為により犯人が得た財産(犯罪被害財産)は,その犯罪が組織的に行われた場合やいわゆるマネー・ロンダリングが行われた場合には,刑事裁判により犯人からはく奪(没収・追徴)することができるようになりました。
このようにして犯人からはく奪した「犯罪被害財産」を金銭化して「給付資金」として保管し,そこからその事件により被害を受けた方に給付金を支給する制度が「被害回復給付金支給制度」です。


事件の被害者の救済

神戸地方検察庁は、この事件に被害にあわれた方に被害回復給付金を支給する手続である「犯罪被害財産特別支給手続」を開始する決定をしました。

最後に

武本容疑者が行った街頭募金詐欺は、難病に苦しむ少年を助けると騙って実行された大変卑劣な犯罪です。
本件における支援団体や少年のご家族らは「善意で支援してくださる方々を踏みにじる行為。絶対に許せない」と語っているそうです。
このような詐欺行為が横行すれば、正当な募金活動まで阻害されかねません。本件のような悪質な詐欺行為は決して許してはいけないのです。


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